間瀬垣勤は、日本一人付き合いが苦手なタクシー運転手。
前職は中学教師。生徒とのコミュニケーション不全に耐え切れずに辞めた。
同僚だった英語教師の真亜子と娘の瑠璃の3人暮らし。
稼ぎも悪く、娘にもバカにされ、妻にも期待されていない。
家で間瀬垣の居場所は年々なくなっていった。
間瀬垣が仕事中にいつも時間を潰す小さな公園があった。
今時見ない土管型の遊具のみが真ん中に置かれた、一日中日の
当たらない空間。そこで間瀬垣は、運命的な出逢いをする。
土管の中からじっと見つめる、何ともふてぶてしい目。
でっぷり太ったおっさんのような猫。
首輪には「御子神(みこがみ)」と書かれていた。
間瀬垣は、それから毎日その公園で御子神さんと会っているうちに
そのなんとも言えない風貌に心を奪われてしまう。
そして、御子神さんと一緒にタクシー営業を始めることを思いつく…。
著者:永森祐二
出版社:竹書房文庫
商品状態:中古品 A(良い)